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【世界のギフトマナー】海外ビジネスに役立つ!ギフトエピソード by高橋克典【世界のギフトマナー】海外ビジネスに役立つ!ギフトエピソード by高橋克典

ギフト選びのNG週から相手の好みをリサーチするコツまで、グローバルに活躍するワーキングパーソンに役立つ情報満載。 外資系の社長を歴任し、海外暮らしを経験してきた筆者が、世界のギフトにまつわるエピソードをご紹介します。

Vol.8 ギフトを通して親密度がアップすれば、ビジネスがうまくいく

今回は、すでに取引きを一定期間行っているビジネスパートナーとより親密になるためのギフトのお話です。初めてお会いする方や、まだお付き合いの浅い方には当てはまりませんのでご注意を。

さて、ギフトは大抵の場合はモノですが、大切なのはそこに込める気遣いです。これまでのコラムでもお話ししてきたように、相手の宗教、文化的な背景や生活習慣に配慮することによって、贈り手の真心や尊敬の念が伝わります。そうするとより仲よくなれますから、自ずとビジネスの関係もより深く、良好になるというわけです。そんな親密度の増すギフトについて、贈り手と受け手、それぞれの性別に配慮しながら考えてみましょう。

Vol.8ギフトを通して親密度がアップすれば、ビジネスがうまくいく
著:高橋克典 / 編集 : 永岡綾 / イラスト: 菅濱奈里
*掲載情報は、著者の経験および独自のリサーチに基づくものです。宗教別人口はPew Research Centerによる 2010年のデータを参照しています。

男性から男性へのギフト

相手の宗教などに配慮さえできていれば、基本的に何でも大丈夫なはずです。私の経験でお話するならば、お酒を嗜まれる方の場合、白ワインに近い日本酒やMade in Japanのワインを贈るといつも喜ばれました。日頃から酒談議を交わしていなければできないことですし、後日、味についての感想を聞くのもポイント。「よ〜し、次はもう少し辛口にしよう」などと考えるのも楽しいものです。

一方、相手の趣味を知っている場合は、それにまつわるギフトは親密度アップに最適です。中でも「本」という選択はおすすめ。たとえば、日本の自然に興味をお持ちの方に、まだ行ったことのない日本各地の景色の写真集などいかがでしょう? また、文化やアートに強い関心を寄せている方なら、それに関して書かれたものの翻訳版やビジュアルがふんだんに掲載されているアートブックを。日本の陶磁器や漆器がお好きな方へ、高額な器そのものを差し上げるのはかなりハードルが高いですが、美しい写真集なら気軽に受け取れ、さらに興味が深まるというものです。浮世絵の画集や日本の近代建築に関する写真集なども素敵なアイデアです。

もちろんVol.6でお伝えしたような「ジャパンデザイン」を感じさせるアイテムも有力候補の一つ。天然無垢材でつくられたマウスパッドなど、デザイン性と実用性を兼ねた逸品は、ビジネスパーソンの心をくすぐることでしょう。

女性から女性へのギフト

キーワードは、やはり「かわいい」と「ヘルシー」ではないでしょうか? たとえば日本画用の画材を扱う京都の老舗絵具店から発売されている「胡粉ネイル」。美しい白狐のラベルに包まれた繊細な日本の伝統色が愛らしく、天然素材で爪にもやさしいすぐれものです。

スイーツの場合も、野菜を使った焼菓子や、季節を感じさせるモチーフの和菓子など、日本らしい気配りのあるものがいいでしょう。あんこが苦手な方も、色とりどりの落雁や宝石のような琥珀糖ならおいしく召し上がれるかもしれませんし、目でも楽しめます。その和菓子をのせる器として、京漆器の伝統を受け継いでつくられた「竹銘々皿」を一緒にプレゼントしてみては? 和菓子だけではなく、洋菓子とも相性がいいので、海外の方にも日常的に使っていただけそうです。

ヘルシーな和食に憧れがあっても、自分で料理するのは難しい......と思っている女性も多いようですから、レシピブックの翻訳版もよさそうです。私は、飾り手巻き寿司の本をビジネスパートナーの女性に贈って、「ホームパーティの強い味方になるわ」と感謝されたことがあります。

男性から女性へのギフト

ずばり、お花がおすすめです! 日本だと「男性から女性にお花を贈るのは、恋愛感情が想起されてしまうのでは?」と懸念されるかもしれませんが、海外ではビジネスシーンでもお花のギフトは定番です。私も、男性のビジネスパートナーとの会食に同席されたお連れ合いの方に小さなブーケを差し上げて、お二人から大変喜ばれた経験があります。

もし相手が普段着ている服やバッグなどのアクセサリーから、好きな花の種類や色を連想できれば最高のギフトになります。特に会食やパーティーに招かれたときなどは、ブーケを持参して行くのはごく自然なこと。花なら、必ずしも自宅に持って帰らなくても、オフィスに飾っておくこともできるので、相手にとっても便利なのです。言わずもがなですが、アクセサリーなど身につけるものを贈るのは、ビジネスパートナーへのギフトとしては相応しくありませんからご注意ください。

女性から男性へのギフト

ネクタイがビジネスシーンでのギフトとしてNGなことは、Vol.1でお伝えしました。「あなたに首ったけ」という意味になってしまうのです! チョコレートなどのスイーツが無難ですが、自宅でもオフィスでも使えるフォトフレームなどのインテリア小物もよい選択だと思います。

香水やオーデコロンは完全にパーソナルなアイテムなのでビジネスシーンでは相応しくありません。でも、ルームフレグランスなら大丈夫。私自身、フランスのビジネスパーソン(女性)からルームフレグランスを贈られたことがありますが、これなら「ご家族みなさんで楽しんでくださいね」というメッセージになります。

ルームフレグランスと言えば、日本の伝統の技がつくり出した香りは、海外の方にとってめずらしいアイテムです。たとえば淡路地方で昔から製造されてきたマッチをベースとしたお香「hibi」は、とてもユニークなコンセプトで、海外の方にとってうれしいギフトになるでしょう。

親密度を増すポイントとは

相手との関係をより良好にするギフトとは、「あなたの趣味嗜好をよく知っていますよ」というメッセージが伝わるものだと言えそうです。誰でも、自分のことをいろいろと考えてくれているんだなと感じられれば、うれしいものですから。そして、どこかに日本人の感性や文化が感じられる要素を取り入れることができたら、なお素敵だと思います。

高橋克典

高橋克典Katsunori Takahashi

1957年生まれ。シャルル・ジョルダン、カッシーナイクスシー、WMFジャパン コンシューマーグッズなど、海外企業の子会社や日本法人の社長を歴任。ヨーロッパを中心に世界各国とのビジネスを経験し、またフランス在住経験を持つ。現在は、企業のコンサルティングをしながら、講演や執筆活動にも力を入れている。著書に『海外VIP1000人を感動させた外資系企業社長の「おもてなし」術』『小さな会社のはじめてのブランドの教科書』(ダイヤモンド社)など。