東京・文京区の弥生美術館では「伝説のファッション・イラストレーター 森本美由紀」展を開催しています。
1990年代、墨を用いた筆によるファッションイラストでひとつの時代を創りあげた森本美由紀。ダイナミックな筆さばきで画かれたラインが表現したのは、多くの女性たちが憧れていた「かっこいい可愛さ」をまとったスタイルでした。彼女の作品はファッション雑誌のみならず、百貨店のディスプレイやCDジャケット、広告などに採用されると同時に「森本美由紀」のライフスタイルやファッション観も大きな注目を集めました。
森本美由紀の無駄のないシンプルな線で描かれたファッション・イラストは、没後10年を経ても色褪せることはありません。
マークスは2005年版の手帳のカバーに森本美由紀のファッションイラストを採用しました。雑誌の表紙のようなカバーをまとった手帳の登場によって、無機質なビジネス手帳ばかりが並んでいた売り場は一変しました。この手帳はファッション感度の高いキャリア志向の女性に受け入れられ、マークスの手帳の黎明期を支えてくれた、大きな存在だったのです。2018年版手帳では、森本美由紀のファッションイラストを2010年版以来、再び採用しています。
今回の「森本美由紀」展では、長沢節が主宰する「セツ・モードセミナー」で学んだ画学生時代から、伝説のファッション雑誌『Olive』『mcSister』などで腕を磨いた'80年代、'90年代渋谷系サウンドとの競演など、"森本ワールド"に至るまでの作家の軌跡も紹介しています。
<森本美由紀>
岡山県出身。1979年にセツ・モードセミナーに入学、長沢節氏に師事。在学中にイラストレーターとしてデビューし、人気の女性誌を中心にファッショナブルなイラストを描いていました。1990年代には筆と墨によるスタイリッシュなファッションイラストによって、日本を代表するイラストレーターとして、そのポジションを確固たるものとしました。彼女の感度と画風はあらゆる業界から注目を集め、雑誌のみならず広告やCDジャケットなども手がけ、2000年代には海外からのオファーも受けるようになりました。2013年10月、肝臓がんのため、54歳の若さで急逝。